エメリー・レヴェック著、川添節子訳『天体観測に見せられた人たち』を読んで
自分の中の天文学者のイメージが見事に打ち砕かれて「そうだったのか!!」となって非常に痛快だった。
星空を眺めているだけじゃなかった…。
データ分析を駆使しているなんて…。
というか数学とか物理とかが重要とか、全然わかってなかった。
でも確かにその二つの学問、特に数学は古代にまで遡れば天文と数学って結びついてたな?となるし、そうだよ、大事じゃん、ともなった。
こういった天文学についてだったり、天文学者の生態についての話ももちろん面白かったけど
ある同僚が面白いことを言っていた。私たち天文学者は、神秘的な意味合いはないにしても、ほかの誰よりも星に人生を左右されている、と。
おそらく偶然と選択—森羅万象のめぐりあわせと、自分のキャリアと運命を宇宙にかけるというちょっと変わった決意—の組み合わせなのだろう。
この2箇所が天文学者というものだけでなく、もしかしたら全ての人の生き方に当たっているのじゃないかなと思ってとても心に響いた。
天文学者が『星』に人生を左右されるように、皆それぞれ『星』にあたる『なにか』に人生を左右されている。
偶然の出来事とその時々の選択の積み重ねによって人生が進んでいくのではないかな、と。
天文学者の生態が気になって読んだ本だったのに、最終的に「やはり人生とは偶然と選択の積み重ねだな」という感想を抱くところがなんとも自分らしいと思って笑ってしまった。