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北川恵海著『ちょっと今から仕事やめてくる』を読んで

今でこそ、仕事を辞めたいという話を聞くと「辞めればいいじゃん」と即答しているけど、昔はそうではなかった。

どちらかというと「辞めない方がいいよ」という方だった。

【生きるのにはお金がかかるし、そのお金を得るには仕事が必要】という考えから派生して【仕事をしていれば生きていられる】という感じだったと思う。

それもあって生きていて欲しいと思った相手が仕事を辞めたいという風な状態であったときには「いや、仕事続けなよ」と言葉で返したり態度で示したりしていた。

【仕事をしていれば生きていてくれるはず】と思い込んでいた。

でもそんなことはなかった。

むしろその仕事が『生』を奪う一因となった。

自分にとっては仕事をすることが生きる上で必要な要素の一つだと思っていたけど、誰もがそうではない。

確かにお金というものを得るためには必要なものではあるけれど、自分が辞めたいと思う仕事を続ける必要なんてものはなかった。

本書の中でサッカーを例にして仕事を辞めることについて書かれていたけど、それを読んで眼から鱗が落ちる思いがした。

「そうじゃん。チームが合わなかったら別のチームに行ったり、交渉したりするのが普通なのに、どうして他の仕事だとそうじゃないんだ。変じゃん。」と。

生きていて欲しいと願っていた相手はもういない。

その現実は変えようもないし、「辞めたいなら辞めればいいじゃん」と言えていれば何かが違っていたのかもしれないとも思いはするけど、あの過去がなければそういう考え方には至らなかった気もするし、辞めていれば生きていたという保証もない。

最終的に選択を下したのは自分ではなくその人なのだから、本人が衝動的にせよ計画的にせよ選択を下したことについて他者がとやかくいうものでもないとも思う。

ただ、「仕事辞めたい」という人がいたら「辞めたいなら辞めればいい。自分の人生なんだから、まずは自分のために生きればいい。」と言いたい。

もちろん自分以外の人のために、というのも大事ではあるとは思う。

でもそれは、まずは自分のために生きるということを考えてからでもいいんじゃないかと思う。

自分以外の人のため、というのもひいては自分のためだから。